2025.06.24
【第2話】朝・夜・週末…生活リズムと学力の深い関係
【第2話】朝・夜・週末…生活リズムと学力の深い関係
~“なんとなくの時間”が“集中できる時間”に変わるまで~
■ このシリーズについて
この連載は、全5話でお届けする“学習習慣の変化”を描くストーリーです。
小学4年生の陽菜(ひな)と母・美咲さんが、家庭でのちょっとした工夫によって、少しずつ「勉強嫌い」から「学びに向かう習慣」へと変わっていく様子を追っていきます。
- 第1話:勉強嫌いの理由は?日常に学びを取り入れるコツ
- 第2話:朝・夜・週末…生活リズムと学力の深い関係 ← 今回のお話
- 第3話:成績が伸びる子はやっている。振り返り習慣のススメ
- 第4話:家庭でできる「学習習慣づくり」3ステップ
- 第5話:親子でつくる「できる子の未来」への習慣設計
陽菜(ひな)が少しずつ机に向かうようになってから、一週間が経った。まだ毎日ではないけれど、「やろうかな」という気配が増えてきた。
美咲さんはうれしい反面、気になることもあった。
「なんだか、集中できる日とできない日があるなぁ…」
とくに夜になると、だらだらしてしまってなかなか手が動かない。反対に、日曜の朝はすんなり机に向かっていた。
「これって、時間帯のせいなのかな?」
そんな疑問が、美咲さんの中に芽生えていた。
◆ある朝のこと
日曜日の朝、陽菜は自分から「漢字テストの復習したい」と言い出した。
「えっ、自分から?」と驚きつつ、美咲さんはお茶を出して静かに見守った。
ノートを見れば、書き間違えた漢字に赤ペンでマルをつけ、書き直している。
「…集中してる」
たまたまかもしれない。でも、美咲さんはふと思った。「もしかして、陽菜には“集中できる時間帯”があるのかも」
◆生活リズムが勉強に与える影響
子どもの集中力ややる気は、気分ではなく“生活のリズム”に大きく左右される。
- 朝の脳はスッキリしていて、記憶力が高まる
- 昼食後は眠気が出て集中力が落ちる
- 夜は疲れがたまり、判断力も低下する
特に小学生は、体内時計や睡眠の影響を大きく受けやすい。
陽菜のように、夜に机に向かっても集中できないのは、脳の疲れが原因だったのかもしれない。
◆「うちの子に合った時間」を見つける
美咲さんは、ある週の間、陽菜の学習時間を観察してみることにした。
- 月曜:19時から→うわの空
- 火曜:朝ごはんの後に10分→集中できた
- 木曜:16時すぎ→まあまあ
- 土曜:お昼直後→眠そう
結果は明らかだった。
陽菜が最も集中して取り組めたのは「学校から帰っておやつを食べた後の30分以内」と「朝の10分間」だった。
「無理に夜やらせるより、本人の調子のいい時間を使った方がいいかも」
美咲さんは、夜の勉強を減らし、代わりに“朝にちょっとやる”“帰宅後すぐにやる”スタイルに切り替えることにした。
◆週末の過ごし方にもひと工夫
そしてもう一つ、意外な盲点が“週末”だった。
美咲さんは週末こそ「たっぷり勉強してほしい」と思っていたが、実際はだらだら過ごして時間が消えてしまうことが多かった。
「午前中にやることを決めておけば、午後が自由になるのでは?」
そう考えて、土曜と日曜の午前中に“15分だけ”やることを陽菜と一緒に決めて、終わったらシールを貼る簡単な表を作った。
「土曜日は漢字、日曜は算数ドリルね」
たった15分なのに、終わると陽菜は「今日はちゃんとやった感」があり、午後はのびのび過ごせていた。
◆家庭でできる3つの“時間の見直し”
- 子どもが最も集中できる時間帯を観察する(朝・帰宅後など)
- 夜は無理にやらせず、疲れていない時間帯に調整する
- 週末は「午前15分だけ勉強」で“リズム”をキープする
時間はみんなに平等にあるけれど、子どもにとって「集中できる時間」は限られている。
だからこそ、そのゴールデンタイムを無理なく活かす工夫が、習慣づくりの大きなヒントになる。
◆次回予告: 第3話:成績が伸びる子はやっている。振り返り習慣のススメ
陽菜の学習リズムが少しずつ整ってきたころ。
美咲さんは再びママ友と話していて、ある“共通点”に気づく。
「成績が伸びてる子って、みんな〇〇をしている…?」
次回は、できる子に共通する“ある行動”と、陽菜のちょっとした変化を描きます。